1ぴきめ(2002年5月)
特集・バリアフリーって、いろいろやねんなぁ

バリアフリーのこんな実践(じっせん)
紹介(しょうかい)します!


(ひと)と、地域(ちいき)とつながる(おお)きな壁画(へきが)

 JR吹田駅(すいたえき)から(ある)いて五分(ごふん)ほどの商店街のな(しょうてんがい)かにある「のぞみ工作所(こうさくしょ)」は、精神障害(せいしんしょうがい)をもつ(ひと)たちの作業(さぎょう)(しょ)です。(ふる)(おお)きな(いえ)利用(りよう)した工作(こうさく)(しょ)(いっ)(かい)はリサイクルのお(みせ)「のぞみSHOP」、格安(かくやす)品物(しなもの)がならんでいます。

 その工作(こうさく)(しょ)の、駐車場(ちゅうしゃじょう)(めん)した(しろ)くて(おお)きな(かべ)(たか)さ六メートル、(はば)一七メートル)にはさまざまなタッチの()草花(くさばな)(ひと)動物(どうぶつ)建物(たてもの)などが色鮮(いろあざ)やかに(えが)かれています。()()いた商店街(しょうてんがい)のなかで、ぱっと()をひく(おお)きな壁画(へきが)です。

 (かべ)()()

 この()は、昨年(さくねん)からいろんな(ひと)たちの()によって(えが)かれてきたものです。(かべ)()(えが)こうと(おも)いたったのは工作(こうさく)(しょ)のスタッフをしている山口(やまぐち)智美(ともみ)さん。昨年(さくねん)六月(ろくがつ)大阪(おおさか)教育(きょういく)大学(だいがく)附属(ふぞく)池田(いけだ)小学校(しょうがっこう)()どもたちの殺傷(さっしょう)事件(じけん)がおきたとき、いてもたってもいられない気持(きも)ちになった山口(やまぐち)さんは、工作(こうさく)(しょ)大家(おおや)さんや利用者(りようしゃ)(ひと)たちに自分(じぶん)(おも)いを(つた)え、(かべ)()()きはじめました。だれでも参加(さんか)自由(じゆう)という(かたち)をとって()()いているうちに、地域(ちいき)絵画(かいが)教室(きょうしつ)()どもたちや興味(きょうみ)をもった(ひと)たちが(くわ)わるようになりました。(とお)りすがりの(ひと)たちとおしゃべりを(たの)しみながら、みんなで()()いていったそうです。

 「()()きながら、(かべ)というものについて(かんが)えました。工作(こうさく)(しょ)(かべ)は、(そと)(うち)とを(へだ)てるものであると同時(どうじ)(わたし)たちを(まも)ってくれるものでもあった。ところが()()くことで、こんどは(かべ)が、(そと)()かって発信(はっしん)するもの、(そと)(わたし)たちとをつなげるものになっていたんです」と(はな)山口(やまぐち)さん。

 つながりたい、という(おも)いから

(ひと)(なに)かアクションをおこすとき、そこには『つながりたい』という意識(いしき)があると(おも)うんです。(わたし)()()こうと(おも)ったときにも、池田(いけだ)事件(じけん)自分(じぶん)工作(こうさく)(しょ)だけの問題(もんだい)じゃなくて、地域(ちいき)のみんなに関係(かんけい)のあることなんだという気持(きも)ちが(つよ)くありました。もっとぶっちゃけて()うと、本当(ほんとう)は、(わたし)障がい者(しょうがいしゃ)作業(さぎょう)(しょ)というもの自体(じたい)がおかしいと(おも)っています。(いま)社会(しゃかい)では作業(さぎょう)(しょ)必要(ひつよう)だけど、本来(ほんらい)障害(しょうがい)をもっている(ひと)だけがひとつの場所(ばしょ)(あつ)まるというのは不自然(ふしぜん)ですよね」。

 いっしょに()()いた()どもたちが、その()工作(こうさく)(しょ)(あそ)びに()るようになり、利用者(りようしゃ)(ひと)ともすこしずつ()()けるようになったそうです。「そういう、とても時間(じかん)のかかることのちょっとだけでもできたと(おも)える瞬間(しゅんかん)があると、ものすごくうれしいんです」

 (かべ)()はいま、屋根(やね)(とど)きそうな(たか)さまで()かれています。山口(やまぐち)さんは「最近(さいきん)(さん)(だん)ばしごをもらったので、これまで(とど)かなかった(たか)部分(ぶぶん)にさらに()()きたしていこうと(おも)ってます」と(たの)しそうに(はな)してくれました。

●のぞみ工作(こうさく)(しょ)
吹田市(すいたし)高浜町(たかはまちょう)6‐6
TEL/FAX 06-6319-3861




すいたバリアフリーマップ(かん)(せい)

この(はる)、「すいたバリアフリーマップ」という(さっ)()(かん)(せい)しました。ぷくぷく福祉会(ふくしかい)(すい)()()委託(いたく)()け、障害(しょうがい)をもつ当事者(とうじしゃ)中心(ちゅうしん)になって「ITバリアフリーマップ制作(せいさく)(じっ)(こう)委員会(いいんかい)」を設立(せつりつ)吹田(すいた)市内(しない)にある駅舎(えきしゃ)とおもな公共(こうきょう)施設(しせつ)のバリア/バリアフリーの(げん)(じょう)調(ちょ)(うさ)した(けっ)()が、カラーのピクトグラム(()文字(もじ))を使(つか)ってわかりやすく紹介(しょうかい)されています。

(じっ)(こう)委員会(いいんかい)事務(じむ)局長(きょくちょう)米村(よねむら)朋子(ともこ)さん(20)にお(はなし)をうかがいました。

 バリアフリーマップに()めた(おも)

(くるま)いすでまちへ()ると、日々(ひび)バリアあふれる現状(げんじょう)直面(ちょくめん)します。歩道(ほどう)自転(じてん)(しゃ)()めがじゃまで(とお)れなかったり、(えき)のスロープが(きゅう)すぎて(のぼ)れなかったり…。(こま)っている(がわ)が「(こま)っている」と()っていかないと、(こま)っていない(ひと)たちはなかなか()づいてくれません。それを()らせることで(まわ)りの意識(いしき)()わってくる。

 それと、障害を(しょうがい)もつ当事者た(とうじしゃ)ちに情報提供(じょうほうていきょう)していきたいという(おも)いがあります。情報が(じょうほう)ないから()かけられないという障がい者(しょうがいしゃ)(おお)い。どこにどんなバリアがあるか、どれだけバリアフリーになっているかが事前(じぜん)にわかっていると、()かけるにも不安(ふあん)(すく)ないんです。

 (じっ)(さい)調(ちょ)(うさ)してみて

 それまで(わたし)(くるま)いすの視点(してん)しかなかったけど、視覚(しかく)障害(しょうがい)聴覚(ちょうかく)障害(しょうがい)のことなど、はじめて()ることばかりで(べん)(きょう)になりました。聴覚(ちょうかく)障がい者(しょうがいしゃ)にとっていちばん大事(だいじ)なのは文字(もじ)情報(じょうほう)です。(えき)ではアナウンスだけでなく、電光掲示板(でんこうけいじばん)(けいじばん)()(がみ)による情報提供(じょうほうていきょう)()かしてはなりません。視覚(しかく)障がい者に(しょうがいしゃ)とっては、(てん)()ブロックがただあるだけじゃダメで、(もく)(てき)()までちゃんと(ゆう)(どう)しているか、弱視(じゃくし)(ひと)にも()えやすい(いろ)になっているかが大事(だいじ)(おと)情報(じょうほう)必要(ひつよう)です。

マップ(さく)(せい)には視覚障害(しかくしょうがい)(しょうがい)(ひと)にも協力(きょうりょく)してもらい、(いろ)()()わせなどについてアドバイスをもらいました。おかげで弱視(じゃくし)(ひと)にも()やすいと好評(こうひょう)です。ウェブ(ばん)には(おん)(せい)(くわ)えます。

 地域(ちいき)(とも)()きるために

 このマップが、みんなが地域(ちいき)(とも)()きるために役立(やくだ)ってほしい。それには情報(じょうほう)提供(ていきょう)(ひつ)(よう)だけど、なにより(ひと)(ひと)とのかかわりが大事(だいじ)です。(こん)(かい)調(ちょ)(うさ)過程(かてい)で、講演(こうえん)(かい)などでお(はなし)する機会(きかい)もありましたが、いちばん熱心(ねっしん)(はなし)()いて(うご)いてくれたのは中学生(ちゅうがくせい)でした。その一生懸命(いっしょうけんめい)姿(すがた)(わたし)たちにはとてもうれしいんです。マップを(とお)して出会っ(であ)(ひと)びと、(あら)たに()ったことを大切に(たいせつ)し、今後は(こんご)(わたし)たちだけでなく一人で(ひとり)(おお)くの(ひと)一緒に(いっしょ)いろんなことに()()んでいきたいと(おも)います。

共働(きょうどう)作業所(さぎょうしょ)b-free
  
        

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