まねき猫通信71ぴきめ(2008年6月1日発行)
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トリの眼・ムシの目・ニャンコの目 (巻頭コラム)
ドキュメンタリー映画『靖国』を見た。自民党代議士・稲田某が「反日的で中立性に疑問がある。公的助成したのは大問題」と検閲に等しい試写会を要求して、マスコミ各社がこの映画を批判する論調を繰り広げた。その結果、東京では上映を中止する映画館が続出、関西での上映も危ぶまれた経緯がある。
2年前の8月15日、当時の小泉首相が靖国神社を参拝した時、台湾・韓国・沖縄をはじめ多くの「合祀取り下げ」訴訟原告(遺族)たちが真っ向から反対した。映画にはその模様が収録されている。また、軍服を着たコスプレ集団のファシズム的示威行動や、靖国参拝促進派の人々の姿とその主張も克明に記録している。ナレーションもなく、靖国神社のある1日のできごとを淡々と綴っているにすぎない。
この映画の何が問題で、どこが「反日的」だというのか?「反日的」という感触や決めつけは、靖国神社が侵略戦争美化の巨大装置であること、また、あの空間と施設が日本軍国主義を毫も反省していない、という本質を見せつけられることの苛立から来るに違いない。
政府公報じゃあるまいに、ドキュメンタリー映画に中立性など存在するものか! 上映自粛などという為体を演じた館の弁明が聞きたい。(パギ)