まねき猫通信103びきめ(2011年2月1日発行)
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トリの眼・ムシの目・ニャンコの目 (巻頭コラム)
先日、兵庫県に住む友人の嘆きを聞いた。先祖が残してくれた山を所有していて、親の代までは木を売って生計を立てていた。つまり林業が生業だった。自分はサラリーマンだが、山の手入れだけは欠かせない。というのも、下草を刈ったり間伐したりしないと、売れる木は育たないし山全体もすぐに荒れてしまう。今も年に一度くらいは材木を出荷するのだが、この間は手間賃も出なかった。立派な杉の木が二束三文にもならない…母親の落涙を見るに忍びなかった。
今年は国連の定める国際森林年。世界中のあらゆる種類の森林を保全するだけではなく、その維持と発展のために持続性のある方策を講じることに重点が置かれている。また、森林と林業の再生ための事業の推進と、様々なイベントも多数予定されている。
ならば、日本の森林と林業の現状をまず振り返えるべきではないか。日本は、国土面積の67%を森林が占めていて、数字だけ見れば世界有数の森林王国だ。1955年、材木の自給率は9割以上だったのに、今は2割にまで落ち込んでいる。
林業が衰退した結果、山村には限界集落(人口の50%以上が65歳以上の高齢者)だけが残された。この現状を尻目に、皇室お手盛りの「植樹祭」など、やってる場合じゃないはずだ。(パギ)