まねき猫通信106ひきめ(2011年5月1日発行)
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トリの眼・ムシの目・ニャンコの目 (巻頭コラム)
原子力発電と言えば、原子力から電気が生成されると思っている人が大半だろうが、そうではない。原子炉は湯を沸かしているにすぎず、沸かした蒸気でタービンを回して発電しているのが原子力発電所なのだ。広島の原爆が燃やしたのは800gのウランで、1万kwの原発は年間1トンのウランを燃やしている。この事実もあまり知られていない。いや、意図的に知らせていない。
原発は「原子力の平和利用」というペテンと「絶対安全」という嘘と「最先端の科学技術」という虚飾に充ち満ちている。その化けの皮が剥がれると、放射能という「本音」が出る。「CO2を出さないエコ発電、それが原子力」ブラックユーモアは悪夢に変わった。福島第一原発の事故が起きた直後、多くの専門家が異口同音に「チェルノブイリ事故ほどではないがスリーマイル事故よりはるかに深刻」という所見を出したのに、政府と東電が守ろうとしたのは、人命ではなく原子炉だった。
ペテンと嘘と虚飾にしがみつく原発推進派の言い訳が「想定外」である。今回の大災害と原発事故を「国難」と称する感性を疑う。「国難を皆の力で乗り切ろう。」美辞麗句の陰で、すでに復興予算10兆円の分捕り合戦が生じ、事故を引き起こした張本人は嗤っているのだ。(パギ)