まねき猫通信123ひきめ(2012年10月2日発行)WEB版
トリの眼・ムシの目・ニャンコの目(巻頭コラム)
フィリップはパリに住む資産家で、有名な絵画収集家でもある。大邸宅には数人の秘書や料理人がいて、社交界の花形。誰もが羨むような何不自由ない暮らしをしているが、数年前にパラグライダーの事故で妻は即死。自身は、頸椎損傷で首から下の感覚が麻痺し肢体は全く動かなくなった。食事・排尿・排便・入浴・着替え・外出・睡眠・起床…あらゆる介護が必要だ。医療スタッフが常駐しているけれど、「24時間の専属介護者」は1週間と続いた例がない
多数の有能な有資格者が高収入を得ようと応募し、毎週のように「面接」が行われる。そんな中で「不採用にしてくれ、就職活動の実績証明があればいい。欲しいのは失業手当だ」と放言した、アルジェリア人で貧しい黒人のドリスが採用された。彼には、障がい者に関する知識や経験など皆無だ。同時に、同情や偏見もまったく無い。2人は「介護する・される」という関係の中から、その関係を超えて人間的な出会いを果たす。その過程で、根深い人種差別、貧富の差、障がい者に対する街の視線、等々、様々なナラティヴ(物語)が重層的に醸される
映画『最強のふたり』の原題はUNTOUCHABLE。この言葉は「触れない/不可触」と「比類ない/最高だ」という両義性を持つ。(パギ)
目次
- 特集:社会保障全般の低下招く保護費切り下げ 利用しやすく、自立しやすい生活保護を!
- 日弁連・貧困問題対策本部副本部長・尾藤廣喜
- 当事者リレーエッセイ:変わってゆくものと変わらないもの 轟広志
- 新聞の作り方94:この国の空虚な政治 石塚直人
- かんこさんのおまかせシネマ・・・生き抜く南三陸町人々の1年(本紙のみ掲載)
- 食べものあれこれ ぷくぷく給食委員会(本紙のみ掲載)
- 北摂市長N氏の悩み第94回「チームN」の巻32 西川たけお(本紙のみ掲載)
- 石けんライフのすすめ第58回「石けん四方山話」その9 逆性石けんって石けん?
- 叶カ活と科学社 猪ノ口幹雄(本紙のみ掲載)