まねき猫通信125ひきめ(2012年12月2日発行)WEB版
トリの眼・ムシの目・ニャンコの目(巻頭コラム)
フランク・パヴロフ作『茶色の朝』(1998年、フランスで出版)は、こんなお話。友人のシャルリーが、飼っていた黒色のラブラドールを安楽死させた。「俺」は、白地に黒のぶちが入った猫を処分した。「茶色がもっとも都市生活に適していて、子どもを産みすぎず、餌も少なくてすむから、茶色以外のペットは始末する」という法律ができたからだ。街には自警団がつくられ、毒入り団子が無料配布される。「俺」は少し抵抗感があったが、〈喉元過ぎれば熱さ忘れる〉と自分を納得させた
この法律を批判する新聞が廃刊、同様の出版物が街中から強制撤去された。「俺」は鬱陶しさを感じつつも、〈自分が心配性なだけだ〉と思うことにした。「茶色に守られた安心、それも悪くない」「街の流れに逆らわないでいさえすれば」快適だった
そんなある日、シャルリーが「かつて黒の犬を飼っていた」と、国家反逆罪で逮捕された。「抵抗すべきだったんだ。でも、どうやって? 政府の動きはすばやかったし、俺には仕事があるし、毎日やらなきゃならないこまごましたことも多い。他の人たちだって、ごたごたはごめんだから、おとなしくしているんじゃないか?」。自問する「俺」の家のドアが強くたたかれ、自警団がやってくる…。(パギ)
目次
- 特集:11/2 鉄道駅の安全を考えるシンポジウム 安心して駅や電車を利用したい!
- 当事者リレーエッセイ:熊本での取り組み 村上博
- 新聞の作り方96:衆院解散とメディア 石塚直人
- JR岸辺駅のバリアフリーチェック−波那本豊(本紙のみ掲載)
- かんこさんのおまかせシネマ・・・フタバから遠く離れて−NUCLEAR NATION(本紙のみ掲載)
- 食べものあれこれ ぷくぷく給食委員会(本紙のみ掲載)
- 北摂市長N氏の悩み第96回「チームN」の巻34 西川たけお(本紙のみ掲載)
- 石けんライフのすすめ第60回「石けん四方山話」その11 パーム油とヤシ油
- 叶カ活と科学社 猪ノ口幹雄(本紙のみ掲載)