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まねき猫通信50ぴきめ(2006年7月16日発行)

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トリの眼・ムシの目・ニャンコの目 (巻頭コラム)

滝川市在住のサックス奏者・渡部昭彦さんは、車いす歴十年。自家用車とフェリーで全国を駆け巡りながら、年間百回近くのライヴをこなしている。そのうち半分はボランティアで、「経費持ち出し」で演奏することも少なくない。それでも去年あたりから「収支トントン」になった。

二七年前(三三歳)に自暴自棄でバイク事故を起こし、九死に一生を得た。三年間の入院生活の後に再婚、松葉杖をつきながらライヴハウス経営で生活を立て直した。順風満帆…のはずだったのに「また悪い癖が出て」十年前に再び大事故に遭い、一年間入院して車いす生活に…茫然自失の毎日を過ごした。

七年前「障がい者と健常者が共に奏でるコンサート」を知り、出かけてみた。「こんな世界があったのか!」サックスを再び吹き始めた。「バンドマンの頃からやりたかった原爆ドーム前のライヴ」も実現した。自分が愛したサックスと、父の戦争体験を聞いて身に染みていた〈平和への願い〉を再発見した。

小豆島のファンと一緒に今年も「平和コンサート」を行う。「どうせ駄目だと諦めずに出かけてほしい、出かけたくても出かけられない人もいるんだから」渡部さんは笑って言った。「駄目男」だった自分の過去を振り返りながら…。   (パギ)

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