まねき猫通信56ぴきめ(2007年2月1日発行)
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トリの眼・ムシの目・ニャンコの目 (巻頭コラム)
最近は、店やスーパーでポイントカードを新たに貰わないことにしている。割引や景品などの特典があるのだが、財布の中がカードだらけになって膨れあがってしまう。第一、特典に至るまでポイントが貯まるほど、その店にしょっちゅう行くわけでもない。ポイントを貯めていたのに「期限切れ」の憂き目にあったこともある。昔は、市場で買い物をすると券をくれた。それを貯めておいて糊で台紙に貼り、金券や小物を貰ったものだ。福引きで高価な景品が当たったこともある。庶民の楽しみも、実に牧歌的だった。
売り上げを伸ばすにはリピーターを一人でも多く確保することだ。ポイントカードはその手段の一つなのである。でも大抵は、特典が豪華でも割引が大幅でもない。例えば、電車の回数券のように十枚分で十一枚、つまり一割引してくれる所なんて多くないはずだ。ポイントに惹かれるよりも、商品やサービスが良ければ誰だって何度でもその店に通うのである。
「商売は道によって賢し」とは、商いの基本は人付き合いだという教訓でもあった。ポイントカードの氾濫は、個人商店が潰れて大型店舗だけがその地域を独占するという昨今の傾向と重なる。ポイントカードより、人情が欲しいのだ。(パギ)