まねき猫通信94ひきめ(2010年5月1日発行)
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トリの眼・ムシの目・ニャンコの目 (巻頭コラム)
百年前、石川啄木は「日韓併合」の知らせを聞いて詠んだ。『地図の上/朝鮮国にくろぐろと/墨をぬりつゝ秋風を聴く』
安重根によって伊藤博文が射殺されたあと、第二代・韓国統監となり、そのまま初代・朝鮮総督(陸相兼任)、後に第十八代・内閣総理大臣を務めた寺内正毅は、朝鮮を強奪したその夜に詠んだ。『小早川/加藤、小西が世にあらば/今宵の月を如何に見るらむ』
啄木の友人であり、明治大正期は反戦と朝鮮併合反対を唱えたが、昭和になってからは新聞人として戦争政策を積極的に支持し、それを鼓舞した土岐善麿は、敗戦の日に詠んだ。『あなたは/勝つものとおもつてゐましたかと/老いたる妻のさびしげにいふ』
この百年間、朝鮮半島では民族の主権回復と人間らしい生活、そして分断された国土の統一を目指して、無数の良心が「美味しい飯」を求めて闘った。百年前、日本は世界列強の仲間入りを果たそうと戦争と領土拡大にやっきになり、日清・日露の勝利という「美味しい飯」を食べてしまった。
百年間、朝鮮(韓国)人は何を食べてきたか?その間、日本人は何を食べてきたか?そして、今、どうなったか?…バンクーバーオリンピックの結果が如実に「この百年」を物語っている。(パギ)