まねき猫通信113ひきめ(2011年12月1日発行)
トリの眼・ムシの目・ニャンコの目 (巻頭コラム)
「農者天下之大本」と大書された幟を翻し、鉦や太鼓を打ち鳴らして農楽隊が練り歩く。先導するのは「令」の字が書かれた旗。仮面を付けたおどけ者や仮装した人々も混じっている。朝鮮(韓国)の五穀豊穣を祝う伝統的な農楽は「プンムル/風物」とも称され、各地方ごとの特色に彩られている。日本の各地でも、在日朝鮮(韓国)人の住むところでは農楽隊が繰り出てお祭りを盛り上げたり、また、デモに混じって気勢を上げたりもする。
農楽という言葉が示す通り、このパレードは農業から生まれた文化だ。額に汗して大地を耕し、収穫を喜び、豊穣への感謝を知る者たちだけが「歌い・奏で・踊る」に値する。都会で実際の「農者」が練り歩くことはほぼなかろうが、その精神世界を受け継ぎ、追体験することは可能だ。つまり「農者天下之大本」を「生活者天下之大本」と書き換えてもいいだろう。
関税を自由化すれば、日本の農業が壊滅することは目に見えている。ただでさえ瀕死の状態にある、しかも、原発事故で絶大な被害が出ているこの国の第一次産業にとどめが刺され、山も海も大地も荒れ果てる。一滴の汗すら額に流したことのないドジョウにこそとどめを刺せ!…百姓一揆は、起こらないのか?(パギ)
目次
- 特集:駅ホームに可動式ホーム柵設置を!
- 当事者リレーエッセイ:介護者との人間関係を作ること 鈴木 勉
- 新聞の作り方84:声を上げなければ事態は前に進まない 石塚直人
- 吹田の生き物と人46:ダンゴムシ 高畠耕一郎