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まねき猫通信115ひきめ(2012年2月2日発行)WEB版

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トリの眼・ムシの目・ニャンコの目(巻頭コラム)

2005年4月に起きたJR福知山線脱線事故では、運転手と乗客合わせて107人が死亡し、562人が負傷した。業務上過失致死罪に問われたJR西日本社長(当時)の山崎正夫に対し、神戸地裁の岡田信裁判長は「事故が起きることを予測できたとはいえず、過失は認められない」ことを理由に、無罪とした。

岡田は明らかに「その当時史観」に基づいて判決している。「当時の視点に立つ」ことで真実を見極めようというならば、アメリカ黒人奴隷は「当時、禁じる法がなかった」から人身売買は無罪。大日本帝国と大韓帝国の「併合」も条約に基づいているから合法。水俣病を引き起こしたチッソにも「過失はない」ことになる。

様々な事象、特に重大な社会的事件や戦争・災害など歴史的事実を観る場合、その視点や視座が第一に問われるのだが、この国では被害者や弱者の立場に立つことを「偏向」と名指す。権力者は裁判で「証拠がない」と開き直って逃げるくせに、元・従軍慰安婦など、個人の資格で権力や国家を告発すると「反証を示せ」と恫喝するのが常だ。

「その当時史観」のペテンにかかれば、原発事故についても、誰も責任を問われず「罪」は成立しない。ならば、司法の範疇外で我々が「罰」を下す以外…ない(パギ)

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