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まねき猫通信88ひきめ(2009年12月1日発行)

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トリの眼・ムシの目・ニャンコの目 (巻頭コラム)

師走は「普段は落ち着いている先生でも走り回るほど忙しくなる」のが語源だと思っていたのだが、「師」は先生ではなく僧侶だという。誰もが忙しい12月は師僧も経をあげるために東西を走り回る、元々は「師馳せ月」だったという説だ。はたまた、兵隊がバタバタ走る「師団が走る」に由来するとも。12月の異名は「春待月」「尽月」「終月」など他にも多いのだが、兎も角も「師走」が定着している。

餅つきが都会の風物詩から消えて久しい。昔は長屋が総出で、蒸し上がった餅米を半日掛けてついた。纏めて何回かついて、後で各家の供出量に応じて分ける。海老餅、海苔餅、豆餅などは「ねこ」という大きな塊にする。鏡餅に仕上げるのは技術を要するが、丸餅は子どもに捏ねられる。手伝いながらつまみ食い…

餅と言えば、小学校の時に見た演劇『信田の狐火』で「餅が憎い」と言うセリフが出てきた。餅すらつけない、正月も休めない俺たちを尻目に、お前らよくも…差別への怒りを餅に叩きつけたその語気を、今でも鮮明に覚えている。「餅が食べられない人もいる」と子供心に思って、餅をつく度に思い出した。真空パックの餅では、師走の匂いや餅つきの想い出も、貧困と差別への凝視も、蘇らないのである。(パギ)

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