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まねき猫通信78ぴきめ(2009年1月1日発行)

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トリの眼・ムシの目・ニャンコの目 (巻頭コラム)

「正月」は元々、五穀豊穣と家内安全の神である歳神をお迎えする行事。門松・しめ飾り・鏡餅などを飾るのは、謂わばその歓迎準備だ。農耕民族である日本人の祖先は、ご先祖さまの霊が、春になると「田の神」になり、秋が終わると「山の神」になり、そして正月には「祭神」となって子孫の繁栄を見守ると信じていた。だから、「お正月」には先祖をお祀りする意味もあったのだが、仏教が浸透してからは「お盆・先祖供養」「お正月・新年の祝い」と区別されるようになった。

昔、丁稚奉公に上がった人間は、正月と盆の16日(藪入り)にだけ休暇を貰って親元へ帰ることができた。落語の『藪入り』は、奉公に出て3年ぶりに帰省する息子と、我が子を待ちわびる親の情愛を題材にした人情話。また、「藪入りや何にも言わず泣き笑い」という川柳もある。「盆と正月がいっぺんに来たような嬉しさ」という形容は、こういう歴史的事情に由来する。

低賃金・馘首・失業に喘ぐ現代日本の労働者、障がい者自立支援法という悪法に痛めつけられ続けている障がい者、そして、夜ごとホテルの高級バーで飲み耽る宰相―。今年こそこの曼荼羅を描き改めて、盆と正月がいっぺんに来たような喜びを分かち合いたい。(パギ)

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